リュックのポケットが少し空いていたようでした。
4時半でした。雨も降っていて暗くなりかけていました。リュックを背負って学校から家に向かって歩いているところでした。中年の男性が自転車を止めて私になにか言うのです。最初は物売りかと思いましたが、熱心に私になにか言っています。よくよく耳を傾けると「リュックのポケットが空いている。それは狙われます」というようなこと。
リュックのポケットチャックを締めてリュックを前にもってきて前にかけました。男性はそれがいいと頷いて自転車で去りました。
mucho Gracias.胸に手を置いてお礼を言いました。
あーいい人で良かった。
「リュックのチャックが空いてます」よと声かけて油断させてリュックを持っていく悪いやつがいるからね。
私はブエノスでそういう手に会いそうになりました。
ブエノスも危険を回避するためにタクシーからタクシーを利用していていました。この日も友人が泊まっているホテルにタクシーで行きました。タクシーを降りると約束の時間よりちょっと早い。そうだ、3分ほど歩いた所にイタリアの美味しいパンやさんがあったからみやげにと歩き始めました。フロリダ通りの近くです。夕方で雨上がりでした。人通りちょっと途絶えた瞬間でした。気がつくと身なりが貧しそうな女性が私の歩調に合わせて歩いています。私の斜め前にはやはり身なりの貧しそうな男性が私達の気配を見ているような。
女性は私になにか言うのです。ジェスチャで顔になにか付いてますよ。拭いてあげましょうとティッシュを出してきました。
その時、ハッ!と気がついて足早に逃げました。
友達のホテルに戻った時、「顔になにか黒いもの付いているよ」「あっ、後ろにもいっぱい黒いものが・・」でした。捨てても良いと思うほどに長年愛用してボロボロになっているトレンチコートを着ていたのですが。真っ黒いシミがいっぱいかかっていました。親切そうにして、油断させたところでかばんを持ち逃げする悪いやつの話を聞いていたので「ハッ」で気がついてよかったです。
このときも荷物を取られなくてよかったと、胸をなでおろしました。ブエノスでもいろんな方に助けられました。神様の計らいかと思うほどに。