庭子75歳「絹ネコ物語」コロンビアで着物と遊ぶvol.5

私は2020年8月末までコロンビアにいた。
日本を発つとき、なにかのときに役立つかもと持っていった一重の紬であったが、
思い切って半分に切った。
なぜかというと、
コロンビアの首都ボゴタは標高2700メートルの街は朝晩とても寒いのだ!
足元は、絹のストレートパンツの上にウールのパンタロンを重ねズボン下だけでも3枚も4枚も重ねていた。
コロンビアの生活には基本的に暖房器具はないようです。
電気料金がとても高いということで、超・超がつくお金持ちでない限り一般市民は暖房器具を使わない
。私はAirbnbのアパートを借りていた。
ダメ元で暖房器具を貸していただけるかアパートのオーナーに尋ねた。小さなヒーターを持ってきてくれた。
「電気代が高いので大事に使ってください」と一言。
 ご近所さんは、私がオーナーが貸してくれたと言うととても驚いた。
そんな様子を見ると、申し訳なくてヒーターを使うことを辞めた。

 そこで、絹のつむぎの着物を半分に切って
巻きスカート(腰巻き)とロングベストを作った。
アップサイクルである。
アップサイクルして、足元も暖かくなり、背中もあたたかくなった。
帰国するとき、ご近所のカロリナにプレゼントし た。
着物の襟の部分の裏地の絹の白生地は、マフラーに作ってプレゼントした。
日本から持ってきた長襦袢である。
ご近所さんのカロリナにしっくり似合いました。
彼女はファッションデザイナーで、
木々を愛で、霧がかかった墨絵のようなグラデーションの山並みを愛で、苔を愛でる感性豊かな人であった。
きっと、このような日本的な色を好むのではないかと着せてみた。
彼女は長襦袢を撫でて、愛でた。

彼女と山を歩いていると「IKEBANA」と生花になりそうな木々と花を指差し、私は「いただきます。ありがとう」と言って積む。
そして私のアパートで生花をしてみせた。
彼女はとても生花に興味を持ち、
学びたいと言うので基本の姿であるトライアングルの活け方を教えた。
カロリーナは目を丸くして感動しいた。
見えないところに美を遊ぶ!
贅沢をする日本人の心。
黒の羽織裏が素晴らしい。

彼女に黒のタンクトップに黒のストレートパンツの上に
羽織って見てと私は言った。
モダンなファッションになった。
100年前の羽織裏の生地で万葉時代の絵巻模様が描かれている優雅な絵柄がある端切れをもっていったので、髪の毛を束ねるリボンにして縫った。

髪の毛を絹のリボンで束ねて、
羽織を羽織ったモダンなファッションに彼女の目は輝いた。
さらに、彼女にプレゼントだというと
彼女は目を輝かせた。
「真綿入りちりめんのちゃんちゃん」を羽織ると、
コロンビアの人々は褒めてくれた。
寒いときに便利かなと持っていったものだ。
ちゃんちゃんこは、
もう亡くなったが大正元年生まれの母が残り布で作ったもので、
暖かくて、人々を魅了した 。

そういえば、思い出したのは日本でのことだった。
このちゃんちゃんこを着て、街を歩いていたとき、
「そのちゃんちゃんこを売ってください」
とお声をかけられた。
その時一瞬、その場で脱いて売ろうかと思った。でも、母が作ったものだしーと考え直してその方には「ごめんなさい」といってお断りした。
そんな事もあったなあと、思い出した。

私は2019年9月から2020年8月末までコロンビア・ボゴタで生活していた。
日本には「四十九日」という法事がありますが、日本と真反対のコロンビアから帰国すると気候・標高の大きな違いが身体に堪えました。身体が慣れるのに49日が境目でした。また1年間コロンビアに住むと気質までがコロンビア人ぽくなって、日本人でありながら日本人に戻るのに3ヶ月ほどかかりました。
 年齢を考慮して、無理せず環境になれるのに身を任せました。
その間、眠っている絹の着物を解き絹のパジャマやインナーにしようと、
チクチクと手縫いで縫いました。
 絹の滑らかな優しい肌さわりは、まるで猫をなでているような感覚です。
生地を無心に縫っていると瞑想しているような時間に、至福な時間になっていたのでした。

そうだ!閃きました。
閃きは足元にありました。
閃きはやっていたことでした。
あばあちゃんの手縫いプロジェクトです。

繭から糸にして縦糸と横糸を紡いで布に織り着物になったいのちです。それが現代の生活様式が変わり着物はタンスの中に眠っています。私はそのタンスの中に眠っている着物にアップサイクルして、再びいのちを吹き込み陽の目にあて、「命のバトン」を手渡してしていきたいとおもいました。
手でシクシクと縫うことが好きなおばあちゃまに声かけて一緒に作り、私がバイヤーになっておばあちゃまが作った作品を世界にサスティナブルな日本の着物の魅力を発信していく。

私は日本から持っていった着物を、巻きスカートやベストにアップサイクルしてコロンビアのご近所さんにプレゼントしたことがあり、大変喜んでいただけました。

 おばあちゃまたちの作品を私が売って、おばあちゃまが手縫いで作った作品は
運営費等の手数料を引いた金額を支払う仕組みを作ります。
タンスの中で眠っている着物に命を吹き込むサスティナブルの考えです。三方良しの考え方で喜んでもらう事業をすることで恩返しができると、浜辺で太陽に手を合わせているときに閃きました。

募集中です。 ◎着物をリフォームする縫い手さん◎タンスの中に眠っている着物をアップサイクルしたいと思っている人、◎一緒に作ってみたいと思っている人、◎着物のサスティナブルを考えたい人、◎なにか応援したいと思っている人、募集してます。応援の声が嬉しいです。